16年間通い続けた喫茶店のマスターに筆下ろししてもらった【しるお組】

16年という長い年月をかけて築かれた信頼関係が、一気に「男と女」の関係へと変貌する瞬間のカタルシスが凄まじかったです。幼い頃から自分を知っている喫茶店のマスターという、身近で憧れの存在に「筆下ろし」を委ねるという設定が、単なる初体験モノにはない重みと情緒を醸し出しています。

マスターの包容力ある優しさと、それとは裏腹な雄としての力強さに翻弄され、ヒロインが乙女から女へと開花していく描写が非常に官能的です。長年の片思いや憧れが報われる喜びと、初めて知る快楽への困惑が入り混じった彼女の表情には、胸を締め付けられるような色気を感じました。喫茶店という落ち着いた空間が持つ独特の空気感も相まって、純愛のような尊さと生々しいエロティシズムが絶妙に調和した、非常に読後感の良い一作でした。